記録ログ
GM:
―――――これは過去の話だ。
GM:随分前の、ふと思い起こすこともあるかもしれない
GM:
なんでもない、普通の1日の話だ。
GM:
FH 2-31区分 練習室
GM:
所々壁に傷がある、無機質な部屋の一角。
センセイ:
「…ほら、そんなんじゃいつまで経っても当たらないぞ」
センセイ:体を動かし、相手からの攻撃をかわす。右へ左へ、のらりくらりと。
佐原真次:
「んなろぉ!」
センセイ:
「わはは、素直すぎるよ」
佐原真次:
訓練用の銃を撃ちまくるが全く当たらない。腰につけていた模擬刀もすでに床に転がっている。
センセイ:
対するこちらは素手。最小のエフェクトで弾き、返し、無傷に抑えている。
佐原真次:
「うっせ、加減しろっての!!」
佐原真次:
「げっ、弾切れ………マズッ」
佐原真次:
もう手持ちには武器はない
センセイ:
「ぬかったなあ」近づく。
佐原真次:
「まっ、まてまてまて」
センセイ:
そのまま襟元、腰へ手を伸ばし、服を掴む。体を潜らせ、相手を背負うようにーーーー
佐原真次:
「降参、参ったって!だからーーー」
センセイ:
「よっ」体を地面へ叩きつける。シンプルな背負い投げ。少しは軟質な素材で出来ているので、若干は抑えられるかもしれないが。
佐原真次:
「ーーーーー痛ってぇ!!」
佐原真次:
痛いものは痛い。
センセイ:
「はい、一本。これで….何対何くらいだっけ」見下ろすように。
佐原真次:
「こっ、このガキ………」
佐原真次:
床に転がりながら悶えている。
センセイ:
「わははー。いい加減先生とお呼びなさい」
佐原真次:
10-0、負け越しである。
センセイ:
14かそこらの少女だが。それ相応に強さはある。
センセイ:
FHで生き残ってきた、猛者であるからだ。
佐原真次:
「わーったよ………センセイ」
センセイ:
「よろしい。んじゃちょっと休憩しますか」手を伸ばす。
佐原真次:
「やーっと休める。鬼かお前、クタクタだっての」
佐原真次:
起こされる
センセイ:
飲み物を二人分持ってきて、そのまま飲む。こちらは汗ひとつかいていない。
佐原真次:
受け取り、ごくごくと喉に流し込む。
佐原真次:
「なんつうスパルタ………部活動ならPTAがでてくんぞ」
センセイ:
「そんな優しい団体がいらっしゃるようなところじゃないしね、ここ」
センセイ:
練習室には、よく見れば古い血痕もあるだろう。
佐原真次:
「クッソ、マジで詐欺だわ。あのスカウト………今度見つけたらぜってぇボコす」
佐原真次:
結構を見て冷や汗。まったく、とんでもないところに来てしまった。
センセイ:
「あ、そいつ最近の任務でUGNに手酷くやられたってさ。全治二ヶ月」
佐原真次:
「マジかよ、ザマぁねーな!………ぜっ全治2ヶ月、うわぁ」
センセイ:
「オーヴァードでも致命傷食らうとそうなるもんなあー。佐原も気をつけるんだぞ」
センセイ:
「……まー任務に呼ばれるなんてこそ、そうそうないだろうけどー」
佐原真次:
「超能力に目覚めた俺様が超然パワーで勝ちまくり、モテまくりーーーだと思ったのによ、世知辛れー」
センセイ:
「練習あるのみ。力も使い方によっちゃあ持ち腐れ…」
センセイ:
「実際に体動かさないと、咄嗟の時に動けないし」
佐原真次:
「つっても、その能力だってあんま良くわかってないんだぜ?」
センセイ:
「オルクスと…モルフェウスか」
佐原真次:
「げっ、まーた訓練かよ」
佐原真次:
「そうそう、そんなやつ」
センセイ:
「なんか無から生み出せたりする?」
佐原真次:
相槌をうちながら、手元のペットボトルを見る
佐原真次:
「あー作ってみたけど、刀とか。あれなら100均の包丁のがましだわ」
佐原真次:
形もガタガタ、切れ味も残念な品を思い出す。
センセイ:
「武器錬成系ではない…じゃあなんか運とか操れたりは?」
佐原真次:
「だったら日曜のレース負けてねーんだよ!」
佐原真次:
ちなみに急用といって訓練を休んだ日だ。
センセイ:
「欲望にまみれてるな〜。FHしてる」
佐原真次:
「ここでオルクスの資料見せられて………滅茶苦茶喜んだのに………!!」
佐原真次:
「俺の三万………」
センセイ:
「結構負けてんな〜。今度奢ってあげよう」
センセイ:
「センセイだからな」
佐原真次:
「え、マジで?」
佐原真次:
食い付く
センセイ:
「マジのマジ。」
佐原真次:
「マジか、マジですか、マジなのですかぁ?いやーセンセイ様々なんですが!肩とか揉む?」
佐原真次:
わきわき
センセイ:
「ふっふっふ〜。崇め奉りなさい」
佐原真次:
「よっ!有能上司!」
佐原真次:
「あ、でも最近俺の訓練ばっかで任務出てねーんじゃねーの?」
佐原真次:
「給料でてん?」
センセイ:
「え、出てるけど」
センセイ:
「あ、ほら今の」
佐原真次:
「へ?」
GM:
訓練室の窓から、キャスターに乗せられた遺体袋が運ばれていくのが見える。
センセイ:
「最近うちのセルが新型の遺産に躍起になってるでしょ?それの適合検査」
佐原真次:
「うへぇー御愁傷様。いやぁ悪の組織って感じ全開だなぁ、おい」
センセイ:
「そりゃあ悪の組織だもんねえ、なんでも脳を置換して援護ソフトでも作るんだって」
センセイ:
「侵蝕を吸い取って動力にする、とかなんとか」
佐原真次:
「あぁリーダーのオッサンが言ってたやつ」
佐原真次:
大量生産可能な準遺産級兵器、そう唱われている
センセイ:
「実現したらすごいよなあ。一泡吹かせられるかも」
佐原真次:
「そういや、あちこちの工場やらセルやらと契約結んでるらしいな」
センセイ:
「大規模なんだなあー…そういや知らない顔も施設で見たし」
佐原真次:
「ふーん」
佐原真次:
ここは良くて中堅、それも落ち目のセルである。
佐原真次:
チルドレンの数は多いが、これといった戦力もない。メインが派遣での作戦協力といった弱小だ。
佐原真次:
「まっ、このセルがでかくなれば俺の給料も増えるか!」
センセイ:
「おうとも!そん時は奢ってくれよ、佐原」
佐原真次:
「楽しみにしてろよ、センセイ。この佐原様が大人の金の使い方を教えてやるぜ」
センセイ:
「そいつは格好いいな、惚れちゃうかも」
センセイ:
その時、端末の呼び出しが掛かる。
佐原真次:
「そーゆー台詞はもっと、こう、色気がでてからほざきやがれっ………と」
センセイ:
「…ん、私か」
センセイ:
「呼び出し食らったっぽい。うへえ、面倒くさい…」
佐原真次:
「うへーお疲れさんって、奢りは?焼き肉は!?」
センセイ:
「まった今度〜」生きて会えたら、と心の中で付け加えて。
佐原真次:
「しゃーねーな。今度、前に言ってた投擲武器云々の話しろよなー!」
センセイ:
ひらひら片手を振って答える。ずり落ちた袖からちらりと包帯が見えた。
佐原真次:
「あ?………やっぱ、任務行ってたのか?」
佐原真次:
首を捻る、しかし
佐原真次:
「まー次あったときに聞けば良いか!」
佐原真次:
まだいくつかお使いのような任務も入っていた筈だ、そのときにでも聞けば良いだろう。
センセイ:
通路を歩きながら思い出す。いくつかあえて伏せていたことがある。
センセイ:
一つ。遺産などと呼べるほど上等なものをここのセルでは開発していない。
センセイ:
二つ。開発中の遺産の適合者であること。
センセイ:
三つ。ここはFHのセルで、倫理感などはとうに無く、
センセイ:
粗末な人体実験を受けていること。
センセイ:
「….死ねるもんかよ、まだ」
センセイ:
「佐原に飯を奢られてない」
GM:
GM:
GM:
夕暮れ 湾岸地帯
GM:
海風が錆びた匂いを呼び込み、落ち掛けた陽がぼんやりと辺りを照らしている。
GM:
波の音は遠く、辺りは冷えている。
佐原真次:
「寒っ!!」
佐原真次:
「くっそ、援護って言ってもなぁ。漫画みたいなドンパチやってるとこに向かわせるかよ普通」
佐原真次:
なぜか服もびしょ濡れだ。
センセイ:
「…よっ、とっ」軽い足取りで戦火の真っ只中へ。
佐原真次:
「っておい!」
センセイ:
そのまま敵の頭に踵を落とし、着地した勢いで足払い、踏み付け。振り返り様に裏拳を打つ。
佐原真次:
「マジか、センセイ………」「俺もいかなきゃ駄目かな?海に隠れたせいで爆弾ダメになっちゃったんだけどーー!?」
佐原真次:
舌打ちをして、走り始める。
センセイ:
「センセイに任せときなさい」声を飛ばしながら、ニ撃、三撃。
センセイ:
ふとそちらに気を取られたのか、背後から刃が襲い掛かる。
センセイ:
「…あ、ヤベ」リザレクトかな、と身構えた。
佐原真次:
「うお流石………って、センセイ後ろ!」
佐原真次:
「ああ、くそ………なんかねぇか!?」
佐原真次:
腰につけていたペットボトルに気づく。
佐原真次:
「くそ、どうにでもなりやがれ!!」
佐原真次:
物質強化、ボトルの硬度を最大に。投げられたソレは敵エージェントに向かって飛んでいく。
佐原真次:
命中ーーーー水がばらまかれるが、エージェントの動きは止まらない。
佐原真次:
「センセイ!」
佐原真次:
しかし、武器であった刃はーーーー
佐原真次:
センセイの体を貫くことは無かった。
センセイ:
咄嗟に体勢を低くし、踵で相手の顎を打った。
センセイ:
「…これで最後、と。助かったよ、佐原」倒れ伏す敵の中、へらりと笑う。
佐原真次:
「おっ、おう」
佐原真次:
「でもなんだって、こいつセンセイのことを刺さなかったんだ?」
佐原真次:
武器を拾っておこうと先ほどできた水溜まりに手を伸ばし
センセイ:
「ボトルになんか仕込んだんじゃ….」
佐原真次:
「痛ってぇ!」
佐原真次:
指先から血が流れる。刃には触れていない、触れたのはーーーー
センセイ:
「…水?」
佐原真次:
「っててて。つーことは、なんだ?」
センセイ:
戦闘で破れかけた服の切れ端を水たまりに落とす。
佐原真次:
刃物で切られたかのようにバラバラになってゆく。
佐原真次:
「これが俺の能力って訳?」センセイの顔を見ながら首を傾げる。
センセイ:
「ほー…」
佐原真次:
「………ショボくない?」
センセイ:
「うん。うん。いいんじゃないか?汎用性もあるし、範囲攻撃も出来る」
センセイ:
「私は好きだぞ、その力」
佐原真次:
「オルクスって、なんか雨とか大量に降らすようなのもいるって聞いたんだけど………ま、いいか」
佐原真次:
そもそも前線希望ではない
佐原真次:
「じゃー、センセイも色々使い方考えてくれや」
センセイ:
「はいはい。とりあえずずらかるとして…」歩き出す。
佐原真次:
「おう、さっさと逃げよ」
センセイ:
「侵蝕がちょっと上がりすぎてるな、うーん」
佐原真次:
「マジかよ、やべーじゃん」
センセイ:
「こういう時はな、いいことを考えるんだよ」
佐原真次:
「いいことォ?」
センセイ:
「明日の飯、金、休み、それから…」
センセイ:
「弟子の成長」わしゃわしゃ頭を撫でる。
佐原真次:
「うわっ!」
佐原真次:
「ガキ扱いスか………まぁ、センセイは先生だから良いけどさ」
佐原真次:
されるがままだが………ふと思いつき。
佐原真次:
「へへ」
佐原真次:
一転、センセイのことを担ぐ。
センセイ:
「どわあ!?何すんだ佐原!?」
佐原真次:
「怪我人なんだから運ばせてもらうぜ?師匠を労ってやんよ」ケラケラと笑いながら
センセイ:
「この野郎〜。格好いいところあるじゃん」
センセイ:
「ま、この体勢からあんたの意識を飛ばす方法を5つくらい知ってるけどね」
佐原真次:
「俺くらいのイケメンになると、女の扱いが自動でスキル化されんだよ」
佐原真次:
「おー怖、可愛げのねぇーガキ」
センセイ:
「うはは、お前にゃ可愛いところ見せねーんだよ」
佐原真次:
「え………センセイに可愛いところがあるってマジ?」
センセイ:
気づかれないように。レゲネイドで体の重さを増して。傷や跡を治して。
センセイ:
「はぁ〜?!その言い方はないだろ!あるぞ、私にだって!」
佐原真次:
「つーか、軽ぃー飯食えよ。マジで、貧相なままだぞぉ?」セクハラだ
センセイ:
「スレンダーって呼べ」
佐原真次:
「へいへい、スレンダースレンダー、美少女上司~」
佐原真次:
普通に学生だったらモテるだろうな~などと考える。
佐原真次:
「そう考えると、やっぱ糞だわ」
センセイ:
「何が?」
佐原真次:
「世の理不尽さ………的な?俺の馬券が当たらないのもそのせいだわ」
佐原真次:
今日のレースはどうなったか、まぁいいか。今はこの先生を休ませねば
佐原真次:
「そういや、最近セルで会わんね。忙しい?」
センセイ:
「そ。引っ張りだこで大人気」
佐原真次:
「マジか、うちのセルからそんなスターが。こりゃ一気に大手だな」
センセイ:
「いいね〜。もっと旨いもの食えるかも」嘘だ。
センセイ:
最近は味覚すら捩れかけている。極端に強くないと分からない。
佐原真次:
「いいねぇ、あ。つーか焼き肉忘れてねーからなぁ?」
センセイ:
「…ち、しっかり覚えてやがったか」
センセイ:
「うち寄って着替えたら行くか、焼肉」
佐原真次:
「マジ?んじゃ、急ぐわ」
佐原真次:
抱えながら小走り。停めておいた黒のバンまでいそいそと向かう。
センセイ:
「…着替え中に覗いたりするなよ?」
佐原真次:
「うわ………心外だわ」
センセイ:
「靡かないな〜。ブレないな、本当」
佐原真次:
「何よりロリコン容疑がかかってんのが傷つく~」
センセイ:
「誰がロリだ、もうちょっと大人びてるだろうが!」
佐原真次:
「へっ、10年………せめて5年たってから言いやがれ!」
センセイ:
車に乗り込む。窓を少し開けて、外を見る。
佐原真次:
運転席に乗り、エンジンをかける。
センセイ:
「5年後、か」
佐原真次:
「まー、そんくらいなら俺も捕まらねーだろうしな」そもそも犯罪者だが
佐原真次:
「良い女の相手が出来るなら、こっちとしては万々歳だしぃ?」
佐原真次:
なんてな と笑いながら車を走らせる。
センセイ:
「良い男になれる自信があるようだな〜?」
センセイ:
そりゃあ楽しみだ、と笑う。
佐原真次:
「俺は今でも良い男だっての、お子さまには分からねーの!」
佐原真次:
「お!」スマホを確認して
センセイ:
「お?」
佐原真次:
「やりぃ、万馬券」画面をみせてくる。
センセイ:
「大勝ちしてやがる!ちくしょう賭けときゃよかった…」
佐原真次:
「これは俺のオルクス完全覚醒かぁ?来たわ、俺様の時代………センセイと二人でエースになっちまうかも」
センセイ:
「誰も勝てねえぞー。二人で敵を吹き飛ばしまくりだ」
佐原真次:
「やべぇ~ウハウハだわ。セルリーダーの計画潰れんな」
センセイ:
「そうだったら良いなあ」
佐原真次:
「つー訳で、次は俺の奢りな?」
センセイ:
「…よしよし、そうやって順調に稼いでおくれ」
センセイ:
「そして肉を食わせろ」
佐原真次:
「ヘイヘイ、お嬢様のために心身ともに頑張らせていただきやす」
センセイ:
「そうだぞ….ちゃんと…」疲れていたようで。
佐原真次:
「んで、次はいつ暇よ、そのときーーーーって」
佐原真次:
「やっぱ、ガキだな」
佐原真次:
「お疲れ、『先生』」
GM:
GM:
GM:
FH 2-31区分 練習室
GM:
所々壁に傷がある、無機質な部屋の一角。
センセイ:
「お、良い動きするようになってきたなあ」右、左へ体を揺らす。避け続ける。
佐原真次:
「へっ、今日こそは黒星つけてやんよ」
センセイ:
「やれるもんなら…やってみな!」踏み込み。そのまま襟元へ手を伸ばしーー
佐原真次:
手に持っているのは銃や剣ではない。水鉄砲、水風船、そしてペットボトルだ。
佐原真次:
「おら!」
佐原真次:
掴まれる寸前で水風船を握りつぶす。
佐原真次:
瞬間、飛沫が訓練室にばらまかれる。
佐原真次:
「気を付けなーーーー滑るぜ?」
センセイ:
「う、げ!」相手の体を押し、間合いを取ろうとするも。
センセイ:
後ろへ引いた左脚がもつれ、そのまま体勢を崩す。
佐原真次:
「これは油ね」
佐原真次:
「んで、これが」
佐原真次:
水鉄砲を数発撃ち込む。
佐原真次:
撃ち込まれた箇所はとてつもない粘着性だ。
センセイ:
手で払おうとし、そのまま片腕が体に固定される。
佐原真次:
「糊、ボンド、テープetc、まあ色々!」
センセイ:
「く…っそう!」残った片腕で体が地に着かないようにするも、油が邪魔だ。
センセイ:
そのまま倒れ込む。
佐原真次:
「どうよ?」
センセイ:
「悔しいけどお見事」
佐原真次:
にやにやと笑いながら近づいてくる。
センセイ:
「この液体が全部刃のだったら、十分相手へのダメージになるしね」
佐原真次:
「だろー。………絵面的にはアウトだな」
センセイ:
「やかましい、タオル取ってこい」
佐原真次:
「んで、最後はこれ」
センセイ:
「んな?!」
佐原真次:
ペットボトルの水をかける。
佐原真次:
すると、粘着性や滑りが一気に流された。
佐原真次:
「ほい、タオル」
センセイ:
「…剥離剤?便利だなあ」受け取り、顔を拭く。
佐原真次:
「いんや、ただの水に粘りけの方を移した」
佐原真次:
「水自体が俺にとっての領域ってわけ」
センセイ:
「ははあ….そりゃ良い」
佐原真次:
2-3リットルが限界みたいだけどな、と付け加えながら。
佐原真次:
「まー、センセイも言ってた通り便利っちゃ便利だわ」
佐原真次:
「でもさー」
センセイ:
「ん?」
佐原真次:
「投げても全然当たらねぇ。こないだの任務、奇跡だったわ」
センセイ:
「うははは、練習あるのみだな」
センセイ:
「状況を把握して、どの角度から投げるのがいいか。方向は、相手の意識は。考えることはまだまだいっぱいだな」
佐原真次:
「センセイ~そういう演算とか得意だろ?良い感じに俺に指示してくれや」
センセイ:
「…やだね。自分で考えな」
佐原真次:
「なんたるスパルタ………いーじゃんかよケチ」
センセイ:
「自分を生かすのは自分だろ?」
佐原真次:
「そこは一心同体的な感じてさぁ。付き合いも長くなってきたし、どうせこれからもペアだろ?」
センセイ:
「うーん、どうだろ。最近大人気だしさあ」
佐原真次:
「げー、しかたねーな。考えっか」
センセイ:
(そうだぞ、ちゃんと一人で生きてくんだ)
センセイ:
(私が居なくても)
佐原真次:
「ま、俺のピンチには助けてくれや。こっちも、センセイの言うことは少しは聞いてやっからさ」
佐原真次:
ヘラヘラといつもと同じ笑顔で返す。
センセイ:
笑い返す。今はまだ、笑っていられる。
佐原真次:
昨日と同じ今日、今日と同じ明日は………少なくとも自分の世界が大きく変わることはない
佐原真次:
「あ、次あったときは俺の奢りだか、おぼえとけよ?そんじゃ、また」
佐原真次:
そんな、間抜けな考えで………別れを告げたのだった
GM:
ーーーーこれは過去の話だ。
GM:
随分前の、ふと思い起こすこともあるかもしれない
GM:
なんでもない、普通の1日の話だ。
GM:
最後の、1日の。
GM:
何でもない普通の日常。それは一本の電話で驚くほど変わる。
GM:
それは夜でも昼でもいい。身近にあった携帯。アラームは掛けていなかった。
GM:
であるならば、電話か、それとも。
GM:
「佐原さーん?」
佐原真次:
覚醒する。昨日………いや、早朝に帰宅してからそのまま死んだように眠っていた。
佐原真次:
二日酔いの頭にノックの音がガンガンと響く。
佐原真次:
「あ?」
佐原真次:
「………んだよ」
GM:
「宅急便でーす」
佐原真次:
「うっせーな、わかったよ!」
GM:
ノックは止まない。
佐原真次:
肌寒い、足元のジャケットを羽織って玄関まで向かう。
佐原真次:
ガチャ
佐原真次:
扉を開く。
佐原真次:
「うるっせーぞ!」
佐原真次:
「今何時だとーーー」
GM:
「どうもどうも」上質そうなスーツに細縁の眼鏡。後ろにはガタイの良い男が黙している。
佐原真次:
「思って………」
GM:
「佐原真次さん、あなたねえ...ウチに借金してるでしょう」
GM:
宅急便なら、荷物を抱えているはずだ。なのにノックは止まなかった。
佐原真次:
「へ?え、あっ………」
佐原真次:
マズイ───微睡んでいた頭が水をかけられたように回転して行く。
GM:
「困るんですよねえ...もうとっくに過ぎてんですよ」
GM:
「期限」
佐原真次:
「(ヤベェ………"どこの"だ!?)」
佐原真次:
心当たりはある、多すぎる。いや、そんなことを考えるよりも
佐原真次:
「いやぁ、あはは」
佐原真次:
「そのですねぇ……」
GM:
黙していた男が、一歩踏み出した。
GM:
「出せますよ、ね?」「だから借りたんでしょ?」
佐原真次:
「出すっ、出しますよ………へへへ、少し待っててくださいよ」薄ら笑いを浮かべて、下がる。
佐原真次:
「今から持ってくるんで」
GM:
「えぇ...待ってますから」
GM:
ガコン!
GM:
閉じようとしていたドアに、足を差し入れる。
GM:
「しっかり、見て待ってますからね」にっこりと。
佐原真次:
「……わかってますよ」部屋の奥へと戻る。
佐原真次:
部屋の奥へ向かい、ガサゴソと音をならしながら暫しの時間がたつ。
佐原真次:
一瞬だけ、男達の視界から消えると。
佐原真次:
音がならなくなった。
GM:
「...うん?」
GM:
「ちょっと見て来い」顎を動かし、大柄の男に見に行くように伝える。
佐原真次:
中はもぬけの殻───開いた窓から冷たい風が吹いた。
GM:
「あいつ...!オイ!車ァ回せ!」
GM:
付近の車が発進し、バタバタと男が駆けていく音。
佐原真次:
「ハッハァ………!」全速力で路地を駆ける。
佐原真次:
同時に昨晩のことを思い出した。
佐原真次:
借金返済のための大一番のギャンブルに挑み。
佐原真次:
佐原はゲームに勝利し大金を得た。
佐原真次:
そして、思い出した。そのまま勝利した勢いと気分のまま祝杯をあげたことを
佐原真次:
気づく。手に入れたはずの大金が手元に一銭もないことを!!!
GM:
辺りが暗くなったと思えば、雨が降り、次第に雨脚は強くなっていく。
佐原真次:
「なにやってんだぁ!俺ぇえええええええ!!」
GM:
遠くで雷の音が響いてくるのが聞こえた。
佐原真次:
「くそ!降ってきやがった………」当たりを確認しする。
佐原真次:
「流石にそんな早くには見つかんねーだろ」
GM:
「ーーーーどこ行きやがっーーー出てこォーーー」
GM:
遠くで探す声が聞こえた。雨で捜索は難航しているようだ。
佐原真次:
「へへっ、ざまぁ見ろ!」そのまま逃げおおせようとする。
GM:
近く。それも数メートル先の距離。足音が聞こえる。
佐原真次:
「ゲッ!」
GM:
電話が鳴る。音で探そうとしているのか。
佐原真次:
「もう来やがったのか?」息を潜める。
佐原真次:
「(やべっ!)」
GM:
「見つけたぞ!!」背後から柄の悪い男が殴りかかってくる!!
佐原真次:
間一髪で、避けることは出来なかった。そのまま吹っ飛ぶ。
佐原真次:
「うおっ!?」
佐原真次:
「ってぇええええ!」
GM:
「手間ァかけさせやがって.....どうせ払えねえんだろ?なら…!」もう一度男が殴りかかる!
佐原真次:
「クソッ……なめんな!!」
佐原真次:
本来ならば、この一撃で意識を失い。そのまま捕まっていただろう。
佐原真次:
しかし、今の自分には少しばかりの"武器"があった。
佐原真次:
落ちていたゴミ箱の蓋を盾のように掲げる。
GM:
「...ッ!こいつ...!」
GM:
「いい加減に...しろッ!」蓋ごと胴体を蹴り上げようとする―――!
佐原真次:
ゴ
佐原真次:
キ
佐原真次:
リ
佐原真次:
身が砕け、倒れたのは黒服のほうだ。
GM:
「な....あっ?!」
佐原真次:
「へへっ、ざまぁ見ろ」
佐原真次:
物を硬くする。
佐原真次:
そして、もうひとつ
佐原真次:
剥げたタイルや砂利、落ちていたゴミなどが黒服にたちに降りかかる。
佐原真次:
「ははっ!」
GM:
「...んの野郎!ちょこまか動きやがって....!」
佐原真次:
「(やっぱり、夢じゃなかった)」
佐原真次:
昨夜、自身の命運をかけたギャンブル。攻略一歩手前で佐原が気づいた店側の不正をなんとか乗り越えた奇跡。
佐原真次:
それはただの偶然ではなかったのだ。
佐原真次:
「あばよ!」
GM:
「待ちやがれェッ!」瓦礫にまみれた男の声は虚しく響く。
佐原真次:
「誰が待つか、バーカッ!」
佐原真次:
逃げる、逃げる、逃げる
佐原真次:
振り返らずに駆けていった。
???:
「...ふーん、結構やるじゃんねえ」
???:
「見込みありそう、覚えとこっと」
???:
ばきん!!
???:
黒服の男をいくらか放って、少女はふらりと立ち去った。
GM:
高架下。駅にほど近いが人気は無く、身を隠すには丁度いい場所。
GM:
屋根もある。逃げ込むには最適だろう。
佐原真次:
「寒っ!」
佐原真次:
一息つき、タバコを取り出して火をつけようとするが
佐原真次:
「ゲッ………つかねぇ」
???:
「火、貸してやろうか?」それは小さな女の子のような声。
佐原真次:
「あ?」
佐原真次:
振り向く。
???:
「だから火だよ!つかねえんだろ?」ポケットに両手を突っ込み、フードを被った小柄な子供だ。
佐原真次:
「まだガキは学校の時間だろーが、非行少年か?」
???:
「少女だよばーか」
???:
「んなことより、良く逃げ切ったなあ、さっきの」
佐原真次:
「あーん?」
佐原真次:
「見てたのかよ」
???:
「ついでにやっつけておいたぞ」折れ曲がった銀縁の眼鏡を投げる。
佐原真次:
「………お前、何モンだ?」
???:
「おまえとおんなじ」
???:
「ちょっとすごいことが出来て、それを自分の為に使ってる」
???:
「そんだけだよ」
佐原真次:
「そーかよ」
佐原真次:
「カーッ、俺様チート覚醒で成り上がりってやつじゃねーみてーだなぁ、おい」
???:
「そんな調子いいやつじゃないぞ、それ」
???:
「使い過ぎたら、死ぬぞ、おまえ」
佐原真次:
「マジかよ。結構好き放題できると思ったんだけどなぁー」
???:
「あんまびっくりしねーのな....まーいいや」
???:
「あれだ、センセイからのアドバイスと思ってちゃあんと守るんだぞ」
佐原真次:
「はぁ?」
佐原真次:
「センセイねぇ………」じろじろ見る。
???:
「そんじゃあな、せいぜい気を付けろよー」
佐原真次:
去っていく姿をボケッと眺める。
佐原真次:
「変なガキ」
佐原真次:
「つーか、結局火ィもらってねーし」
佐原真次:
なんだったんだ………呟いた言葉は、騒音に紛れて消えていった。
GM:
GM:
GM:
「...で、ここが仮眠室、奥から二番目のドアは開けないで。武器庫に訓練区画に...研究室、薬剤置き場...」
GM:
薄暗い室内を、説明と共に行く。そこは学校や会社のような、真っ当な場所ではない。
GM:
FH。場末に存在するセルのひとつ。名前すら憶えられていないような、そんなところだ。
佐原真次:
「結構でけぇのな………ボロいけど」
GM:
「人が昔はいたからね。あ、ここから先は入っちゃだめだよ」
GM:
「多分殺されちゃうから、ジャームに」なんでもないように。
佐原真次:
顔をひきつらせる。
佐原真次:
「(イカれてんな………こいつら)」
GM:
「今日はとりあえず訓練区画で能力の検査ね。担当の人がいるから困ったことがあればその人に聞いて。」
GM:
それじゃ、とセルのひとりの男は立ち去る。
佐原真次:
「はーあ、儲かるってホントかよ」
佐原真次:
流行ってそうには見えない。
???:
「よう、おまえが新入りか...今度はちゃんと持ってくれよ...」
???:
「って、あれ?」
佐原真次:
「んぁ?」
???:
「.....なあ、今度こそいるか?」
???:
「火」にやりと笑う。
佐原真次:
「こないだのガキ………えぇ、お前ここの奴なの?うわー」
???:
「ガキっておまえ、失礼なやつだなー」
佐原真次:
「理想な大人でダークなお姉さんだったんだよ、現実とのギャップで辛いわー」
センセイ:
「ダークなお姉さんじゃなくて悪かったな!」明らかに身長は下だ。
佐原真次:
「うわ、もしかしてお前が俺の上司な訳?マジかー」
センセイ:
「上司じゃない!センセイ」
佐原真次:
ヤンキー座りで項垂れる。
センセイ:
「おまえに色々教えるんだよ、私が」
佐原真次:
「センセイ………先生って、お前がぁ?」
佐原真次:
「小学生くらいのガキに教わんねーと行けねーのかぁ」
センセイ:
「なんか」近づく。右肩から腕を引き、浮かせた左足を払った。
センセイ:
「悪いか?」ぴたりと、目に手刀を付けて。
佐原真次:
反応するよりも早く倒れる。頭をぶつけた。
佐原真次:
「痛ってえ!このガキ!」
センセイ:
「そっからどう動く?ガキ」
センセイ:
「どうやっても目、潰す方が早いぞ」
佐原真次:
「ぐっ………」
センセイ:
「ま、この辺りもまとめて教えるのが仕事だ」
センセイ:
「解ったならちゃんと呼べよ?センセイってな」手を引いて。
佐原真次:
「………」
佐原真次:
しぶしぶ立つ。
センセイ:
「...返事は?」
佐原真次:
「わーったよ………センセイ」
佐原真次:
ボソッと言い放つ。
センセイ:
「よーし、良い子だ」背伸びして、わしゃっと頭をなでる。
佐原真次:
「うわっ、やめろやめろ!」いい年こいての子供扱いは流石に堪える。
センセイ:
「うははは、存分に狼狽えろ!」
センセイ:
「そっちの方が私もやりやすいからな」
佐原真次:
「………ぜってー泣かす」このガキ、と言葉を飲み込んだ。
センセイ:
「やれるもんならやってみな」
佐原真次:
「クソッ……とにかく何かの検査があんだろ」
佐原真次:
よくわかんねーけど、いかなくていいのかと尋ねる。
センセイ:
「んー...リザレクトとシンドローム調査と...あ」
センセイ:
「衝動、ってわかるか?」
佐原真次:
「………パチンコで残りの一万を突っ込んでしまう?」
センセイ:
「そりゃ節操無しっていうんだよ」
センセイ:
「うーん、こういうのは一発食らって無理やり出すのがいいんだけど...」
佐原真次:
「おい、物騒なこと言ってんなよ」
センセイ:
「物騒なことって...ここ、FHだぞ?」
センセイ:
「そういうのは当たり前。私がヤベー奴じゃなくて良かったな」
佐原真次:
「マジかよ」
佐原真次:
自分からしたら目の前の少女も大概変わっているのだが
センセイ:
「さっき一緒に来てたの、いただろ?説明とかしてくれたやつ」
佐原真次:
「あぁ」
センセイ:
「あいつだったら今ごろ、おまえの事動けなくして、斬ってリザレクトの様子見て、衝動無理くり起こしてサクッと調査終えてたよ」
センセイ:
「そういうことする奴もいっぱいいんの。気を付けた方がいいぞー」
佐原真次:
「は?」
センセイ:
「あいつの衝動、殺戮だから」
佐原真次:
「とりあえず……お前がマトモなヤツってことはわかった」
佐原真次:
冷や汗が流れる。簡単な気持ちでとんでもないところに来てしまった………。
センセイ:
「うまくやってくこったな。ま、言う事守っとけば大丈夫だろ」
佐原真次:
「そこら辺のこと詳しくたのむわ………『センセイ』」
センセイ:
「おう。任せときな」
センセイ:
「そーだな...まずは衝動から見とくか...」
佐原真次:
「どーすりゃいいの?」
センセイ:
「じっとしてりゃあいいよ」
センセイ:
ぞわりと。身体の奥底から何かが沸き上がってくるような感覚。
センセイ:
《ワーディング》。
センセイ:
レゲネイドを活性化させ、衝動を発起させる。
センセイ:
「...どうだ?なんか....あるか?」「したくなるような事、抑えらえないやつ」
佐原真次:
近づいてきた少女の手を………思い切り払う
センセイ:
「!」数歩後ずさる。まだ絞り切れない。
佐原真次:
気持ちが悪い
センセイ:
(飢餓か?...憎悪...嫌悪?)
佐原真次:
近づいてくる『ナニカ』だけでなく周囲の空間、吸っている空気すら
佐原真次:
周りにある存在すべてに、どうしようもないほどの嫌悪感が沸いてくる。
佐原真次:
息を吸いたくない
佐原真次:
地面と触れたくない
佐原真次:
他の誰かに近づきたくない
センセイ:
「....おい、おい!」
佐原真次:
溢れ出てくるの負の感情、嫌だ………此処にいたくない。
佐原真次:
とっさに目に映ったのは訓練用の武器
佐原真次:
こんなに苦しいのなら、いっそ───
佐原真次:
刃を喉へと突き立てようとする。
センセイ:
両の手を伸ばし、片方を刃と首の間へ。もう片方を手首へ。
センセイ:
レゲネイドをコントロールし、極力漏れを抑える。
センセイ:
「...自傷...にしては迷い過ぎだな、嫌悪か」
センセイ:
「厄介なのを引いたなあ、佐原」
佐原真次:
はぁ、はぁと息を荒げて我に帰る。
佐原真次:
「………きもちわりい」
センセイ:
「二日酔いよりひっでえだろ、それ」
センセイ:
「それが衝動。成ったからにはずっと付き纏う面倒な奴だ」
佐原真次:
「あぁ、最悪の気分だわ」
佐原真次:
マジかよ、しんどいわー。そう言いながら大の字に倒れる。
センセイ:
「ま、訓練すればちょっとは抑えられるようになるからさ」
センセイ:
「こういうの教えんの、私くらいだぞ?」軽く手を振って血を飛ばす。傷口が塞がっていく。
佐原真次:
「取り敢えず、当たりの上司に着いたってことはわかったよ」
センセイ:
「当たりも当たり、大当たりだ。喜んでいいぞ」
佐原真次:
「わー、うれしー。涙出そう」適当に返事する、それくらいにしんどい。
センセイ:
「ま、慣れろ慣れろ。もっとキッツいのはいっぱいあるからな」
佐原真次:
「うげぇ、マジかよ。もっと楽に稼ぐつもりだったのにー」
センセイ:
「ここじゃ稼ぐ前に死にかける方が早いんじゃないか?やり過ぎる奴らばっかりだしな...」
佐原真次:
「もしかして」
センセイ:
「ん」
佐原真次:
「俺の人生、大転落?」
センセイ:
「やりようによっちゃ、大成功」
佐原真次:
「………」
センセイ:
「ギャンブルは好きか?佐原」
佐原真次:
「………まぁ、好きだ」
センセイ:
「なら良し。勝てる方法を教えてやる」
佐原真次:
「なんだって?」
センセイ:
「うまく立ち回って、がっぽり稼いで...」
センセイ:
「ちゃんと死なない。そういう方法を教えてやるって言ってんだよ」
佐原真次:
「あんのかよ、そんな都合のいい方法なんて」
センセイ:
「訓練と鍛錬」
佐原真次:
「なんつーアナログ」
佐原真次:
「怠け者は死ぬってか」
センセイ:
「そうだぞ。サボった奴からコロッと逝く」
佐原真次:
「努力とか鍛えるとか………滅茶苦茶嫌いなワードなんだが」
佐原真次:
ため息をつく
センセイ:
「死ぬよりいいだろ?丁寧に教えてやるからさ」
佐原真次:
「優しくたのむわ」
センセイ:
「なるべく守ってやるよ」
センセイ:
「そんじゃまあ、取り敢えず私に一撃食らわせるところから――――」
GM:
冬。辺りはイルミネーションの灯りがこぼれ落ち、少し街が浮足立つ、そんな時期。
GM:
表通りから一本抜けたその店で、二人組が来店する。
佐原真次:
「相変わらず湿気た店をだなぁ、オイ」「ちゃっちいけど華を連れてきてやったぞ~」
センセイ:
「華だとぉ〜〜?美味いもんが食えるからって着いてきたのに、どういうことだお前!」
佐原真次:
「旨いもんは食えると思うぜ………俺一人じゃ不可能だがな」
センセイ:
「とりあえず肉だ肉!今日は豪勢に行くぞ!」
佐原真次:
ここの店でのツケは上限をついてしまった………さらに引き出すには新たな客が必要………というわけで
佐原真次:
「やりい、へへ。お世話になりますセンセイ」
センセイ:
「へへん。まあそれくらいならな」
チンピラ:
「うわ、ガキにタカってるよアイツ………」
ゴロツキ:
「落ちるとこまで落ちたなぁ」
センセイ:
「ガキだとう…?いい度胸してるじゃないか、なあ」声のする方へ振り返り、わざと聞こえるように声を張る。
佐原真次:
「黙れカスども、飯と酒の前にプライドなんぞあるか」
チンピラ:
「ヒエ」
ゴロツキ:
「ナンデモナイッス」
センセイ:
「ふん!ギャーギャー喚くようだったら飲み比べてのしてやろうと思ったが、それもいらなさそうだな」
ヤバいやつ:
「フヒヒ、キツイ視線アリガトウゴザイマス」
センセイ:
「な、なんだこいつ…」
佐原真次:
「一人変に盛り上がってるけどな………」
センセイ:
「お、きたぞ飯!」
佐原真次:
「気にすんな、野生の変態だろ」
佐原真次:
「おっ、キタキター」
GM:
大味ながらも分厚くカットされたステーキに、ポテトや揚げ物。
マスター:
「おまちどう。今夜はちゃんと支払って貰えそうでありがたいよ」
センセイ:
「ったく…ま、今夜の分はしっかりな」
センセイ:
「後の分は自分で稼いで自分で払えよ〜?」うきうきした表情でナイフとフォークを持ち上げる。
佐原真次:
「いや、ちゃんと言ってたろ?金は入る予定だってさぁ」
佐原真次:
「ゲ………しかたねぇな………」
マスター:
「金が入るって言ってたの最初のツケだからな、あれからお前はこの店に五回来ている………」
センセイ:
「ん、んまいなこれ…!」口いっぱいに頬張る。
マスター:
「ま、そこのお嬢さんがしっかりしてるようで助かるよ」
センセイ:
「あほめ」ぱくぱく。
佐原真次:
「わーったよ、払う払う。だからさっさとキッチンにもどれや、若々しい空間におっさん成分を混ぜんな!」
佐原真次:
「んまいんまい」
マスター:
「こいつ………」帰っていく。
センセイ:
「追加だ追加!ハッシュドビーフもたのむ!」
マスター:
「あいよー」
センセイ:
「こんな美味い店を隠していたなんて…佐原め〜」
佐原真次:
「飯はうまいんだけどなー店長が口うるせぇオッサンだから……ぐるなびは星1にしてる」
センセイ:
「迷惑じゃねえか」ぱくつく。
周りのチンピラ
「俺も俺もー」
周りのゴロツキ
「流行ると困るしなー、俺らが居ずらくなる。」
センセイ:
「なるほどなあ、ま、穴場だもんなあ」
佐原真次:
「な?」
佐原真次:
「そゆこと」
センセイ:
「なるほど」
センセイ:
はふはふしながら、揚げ物にかぶりつく。
佐原真次:
「まぁ、たまには金を落としてやるか~潰れたら困る」
佐原真次:
「焼きうどんとアンチョビポテト~」
佐原真次:
どんどん頼んでいく
センセイ:
「この…カツオの揚げたやつくれ!」
センセイ:
「なあ佐原ー、今日の案件はめちゃくちゃだったなあ…」
センセイ:
ポテトをつまみながら。
佐原真次:
「あー、だなぁ」
センセイ:
「なんだよあの倍々ゲームになんでも増やす光線って。アホか」
佐原真次:
「ド○えもんの道具みてーだったな………」
センセイ:
「たまに出てくるバカなセルのせいで残業してると思うと滅した方がいいんじゃないかって思うよ」
佐原真次:
「だな。UGNに頑張ってもらうべ」
センセイ:
「だなあー」ハッシュドビーフをバケットにつけて食べる。
センセイ:
「あ、そういえばあん時ビーム当たってたショットグラス。持ち帰っちゃった」
佐原真次:
「は?マジ?」
センセイ:
ごそごそと取り出し、カウンターの上に置く。なんの変哲もない透明そうなグラスだ。
センセイ:
「サングリアってあるか?うんと甘いやつ!」
佐原真次:
「まー作れんじゃね?」
佐原真次:
「オッサーン、サングリアー!」
センセイ:
「グリューワインも捨てがたいけどなー。果物多めの方が好きだ!」
GM
返事が帰ってくる。あるらしい。
センセイ:
「おっ。試しに注いでみようぜ」
佐原真次:
酒飲んでいる奴への感想ではないが、子供舌だな………
佐原真次:
「おー、上手くいきゃだいぶ代金浮かせられんぞ」
センセイ:
「どれどれ….大きめのグラスから移してみる。
GM:
初めはなんともないが、ゴポゴポと音を立てて…中から湧き上がるように出てくる!
佐原真次:
「お」
GM:
香りも申し分ない。果実もいくらか複製されているようだ。
センセイ:
「うおお!!」溢れる寸前で一気に煽る。
佐原真次:
「あー」
センセイ:
「….う、うまい」
センセイ:
「美味いぞ、これ!」
佐原真次:
「へー、そりゃ上々」
センセイ:
「む!飲み干しても空から湧き上がってくる…!!」顔が若干上気している。
佐原真次:
「まじ?ちょい貸してみ」
センセイ:
「いいぞ〜〜」グイッと飲み干す。
佐原真次:
受け取ると、すでに溜まっている。
佐原真次:
一気に飲み干す。
センセイ:
「な、な〜!」カツにかぶりつきながら。
佐原真次:
「んー多少甘ったるいが、味は中々………」
佐原真次:
目を下に、すでに溜まってる。
佐原真次:
飲み干す。
佐原真次:
「ああ、悪くな」
佐原真次:
目を下に、すでに溜まってる。
佐原真次:
飲む。
センセイ:
「んっひひひ…よこせよこせ!」
センセイ:
グラスを奪い取って飲む。
佐原真次:
「お、おう」渡す。
センセイ:
「マスター!ストローくれ!」
佐原真次:
「(こいつ出来上がってきてんな………)」
マスター:
「あいよ」
センセイ:
受け取って差し、ずっと啜っている。
佐原真次:
「………」ジトっと見つめる
センセイ:
どんどんご機嫌になって行く。
佐原真次:
「ジュースじゃねーんだからな?」
センセイ:
「……?」わずかに、目元が潤んで見える。酔いが回っているようだ。
佐原真次:
「いや、一回渡せ」奪い取る。
センセイ:
すそーっとストローが気の抜けた音。
センセイ:
「あっお酒!あたしの〜」
佐原真次:
グラスに視線を………まだ増えている。飲むが、減らない。
佐原真次:
頭を手で押さえつけながら、飲んでいくが減らない。
佐原真次:
「おいおいおい………不味くないかこれ」
センセイ:
「レネげいとアイテムになってんだろ〜〜??たぶん」残りのカツに手をのばす。
センセイ:
「飲めば…へる!あん時も最終的には無くなってたし…効果がきれれば…」
佐原真次:
「なんか………増えるスピード上がってるんだけど………」
センセイ:
「…???」
佐原真次:
「センセイ?」
センセイ:
腕に手を伸ばし、再びひったくり。口を開けてグラスを逆さにする。
センセイ:
ごくごく。腰に手を当てて満足そうだ。
佐原真次:
「おいバカ、潰れんぞ………」
センセイ:
グラスをくるっとひっくり返して。
センセイ:
「そんなことは…ないっ!あたしは酒強いんだあ…」頬は赤く染まっている。
佐原真次:
「うわ………今までで一番信用できねぇ」
センセイ:
「甘い…美味い…んふふ…」
佐原真次:
どんどん酒が湧いてきている………しかたねぇ
佐原真次:
「おい、バカどもグラスに持って並べ!!はよ!」
センセイ:
「さはら〜?」
佐原真次:
「なんだよ………」
センセイ:
「あげちゃうの〜?」変なスイッチが入っている。
佐原真次:
聞きながらボンクラどもに酒を配る
佐原真次:
「アンタがそんなんなってるからな………」
センセイ:
「飲めや食えや〜!大丈夫なお酒だぞ〜〜多分」
チンピラ:
「なんだなんだ~」
センセイ:
「なんともないらろ!な!」
ゴロツキ:
「おごり~?まじで!?」
ボンクラ
「えー俺ウイスキーの方が~」
センセイ:
「うるさあい!この甘くて美味しいものが飲めないというのかあ…おん?」
野良オーヴァード
「モルフェウスシンドロームの影響ですかね?」ネガネクイッ
マスター:
「オイオイ、お前らなにやって………」
センセイ:
「あ、オーヴぁーどだ….ワーディん…」
佐原真次:
「うるせー!とにかく飲め!飲み続けろ!」
佐原真次:
「ギャぁああ!飲酒ワーディングはやめろ!」
センセイ:
「んー…えいえいっ」ノイマン的ツボ押し!弱点を的確に突く!
佐原真次:
「ぐえっ!酔ってるのに強い!何コイツ!?」
佐原真次:
体が動かない
センセイ:
「うひひひ…お前らー!飲んで食え〜!」
チンピラ:
「いえええい!」
ゴロツキ:
「うおおお!!」
センセイ:
「ローストビーフも追加だー!ウルストも持ってこーい!」
ヤバいやつ:
「フヒヒ、カワユス」
マスター:
「今日は儲かるなぁ…」
センセイ:
「佐原〜〜食べたいか〜〜?」ローストビーフを一欠片、目の前に持ってくる。
佐原真次:
「うえぇ、地獄絵図………バカしか居ねぇ」
佐原真次:
「あ?なんだって?」状況が混沌過ぎて聞き取りにくい!
センセイ:
「ローストビーフ!食うか?食わないのか!?」ソースが飛ぶ!
佐原真次:
「ぎゃー!!目に入った!!!」
センセイ:
「サングラスを…避けて…ぶふっ..ダサい…ふふ…」
センセイ:
ツボに入っている。サングリアを煽る。
GM
回りでも笑い声が飛ぶ。
佐原真次:
「こ………コイツら」
センセイ:
「肉がうまい…酒もうまい…ふふ」
佐原真次:
無駄に疲弊しボロボロ
佐原真次:
「そりゃようござんした」
佐原真次:
タバコを一服。
センセイ:
「お前もいるしな…」
佐原真次:
「優男の口説き文句みたいなこと言い出したな………」
佐原真次:
「意識だいじょぶかー?」
センセイ:
「たらふく食えたし……お腹もいっぱいだ……」
センセイ:
「グラス…どうだ?まだ出てきそうか…?」
佐原真次:
「あー、おさまったみてぇだわ」
センセイ:
「そうかそうか…よしよし…」
センセイ:
「お財布は….ここで…多分これくらい食べた….」5千円札と、千円札をいくらか。
佐原真次:
「ええと、俺の貯まってるツケが………クソ、ドサクサに紛れて見覚えのねぇ伝票が!」こちらも金を出す。
GM
店中から下手くそな口笛が響く。
佐原真次:
「テメーら覚えとけよ………マジで」
センセイ:
「じゃーな〜〜楽しく飲めよお前ら〜!」ぶんぶんと腕を振る。
佐原真次:
「ほら、センセイ。帰るぞ………フラフラじゃねーか」
センセイ:
「そんらこと…ないっ!」
チンピラ:
「おう!またなーチビッ子先生~今度はそこのバカ抜きで来てもいいぜー!」
センセイ:
「やだねー、こいつと飲むからうまいんだよお!」軽く蹴りを入れる。
ゴロツキ:
「オジサン奢っちゃうぞー!」
センセイ:
「シャトーブリアンのステーキをねだるぞ」真顔。
ボンクラ共
「ろ………ロリコン」
佐原真次:
「ぎゃー!風評被害!!」
マスター:
「よ、お粗末さん。こんな店でよけりゃ、また来てくれよお嬢さん」手をヒラヒラとふる。
センセイ:
「おう!どれも美味かったぞ!こいつ共々よろしくな」
店の連中
『じゃーなー!!またこいよー!!!』
センセイ:
満面の笑みで腕をぶんぶん振った。
佐原真次:
「二度と来るかボケぇ!!」
GM:
GM:
辺りは冷え込みが厳しくなり、わずかに雲もかかり始めている。
センセイ:
「二軒め行くか〜?ケーキも買って帰るぞ!」
佐原真次:
「千鳥足なんだよなぁ」
センセイ:
「駅前のケーキだ!フルーツの高いやつ行くぞ!!」
佐原真次:
「うわ、足はやっ」
センセイ:
ふらふら、ふわふわとした足取りで歩いていく。
佐原真次:
「酔っ払ったせいで子どもっぽさが浮き出てきたのかぁ?すげぇ、不健全なガキだな………」ボソッと呟く。
センセイ:
「さーはら〜〜ケーキ売り切れちゃうぞ〜〜」
佐原真次:
「わかったっての」
センセイ:
「一緒に食うぞ!うちくるだろ!なー」
佐原真次:
「一人で帰せる状況じゃねーからな………」
センセイ:
「?」
佐原真次:
「いいよ。早くケーキ買って帰んぞ」
センセイ:
「シャンメリーも買う〜」
佐原真次:
「あいあい」
センセイ:
手を取る。酒で暖まったのか、小さな手はポカポカとしていた。
センセイ:
「いちごのもいいな、マンゴーもうまそうだ」
佐原真次:
「好きに選べって………」されるがまま、好きなさせる。
センセイ:
「さはらは?どれにする?」それは、まるで年相応の少女のような表情で。
佐原真次:
「あー、チョコので」
センセイ:
「ん。すみませーん!」手が離れ、会計の方へと向かった。
佐原真次:
「ま、らしくねぇけど。たまにはいいか」
佐原真次:
子どもが子どもらしくいるのは自然だろう。
センセイ:
「買ったぞー!」白い箱を持ち上げて、嬉しそうに言う。
佐原真次:
「おう」
センセイ:
店のドアを開け、ふと空を見上げるとーー
センセイ:
「あ、雪だ」
センセイ:
「キレーだな、佐原」
佐原真次:
「ん、そうだな」
センセイ:
「ゆっくり帰ろう。こういうのも悪くない」
佐原真次:
「ああ、そうだな」
センセイ:
手を引き、イルミネーションを通り過ぎて家路を歩く。冷たい風が火照った頬を撫で、心地のいい風が吹いた。
センセイ:
「今年ももうすぐ終わるってなー….あっという間だったなあ…」
佐原真次:
「俺は波乱万丈だったがな」
センセイ:
「ここも悪かないだろう?」
佐原真次:
「ああ」
佐原真次:
「ま、来年もよろしく頼むわ」
センセイ:
「…おう!もちろんだ!」
センセイ:
「…っ、くしっ」
佐原真次:
「ほら、早く帰んぞ」
センセイ:
「帰るー…」
センセイ:
さくさくと、薄ら積もった雪を踏み締めて。
いずれ来る終わりは、まだ知る由もない。